公開講座『言葉の獲得の土台』(2023.3)

開催日時・場所

2023年3月10日(金)~ 2023年3月21日(火)  Web配信

講師

小椋 たみ子(大阪総合保育大学・特任教授)

概要

今回、関西学院大学心理科学実践センターで行われた公開講座では、大阪総合保育大学 児童保育科 特任教授、神戸大学 文学部 名誉教授の小椋たみ子教授より、「言葉の獲得の土台」という題目でお話いただきました。

講義の序盤では、言葉の発達の進み方についてお話頂きました。言葉の獲得は人間が生まれた時から既に獲得するための脳機能は存在しており、発達の過程でかけられる言葉によって獲得する言語が変わることを知りました。獲得のスピードには個人差があることに加え、獲得する過程にも差があり人によってものの名前から獲得する子、感情などから獲得する子といった違いがあることを教えて頂きました。

講義の中盤では、養育者の応答性の重要性についてお話いただきました。養育者が敏感にかつ迅速に子供に反応することにより、子供のことばの獲得に大きな影響を及ぼすことを教えてくださいました。その際、子供が行っている行動に即した行動であったとき、より効果があるが、子供の行動に対して命令的な指示であると、子供のことばの獲得が遅くなることを知りました。

講義の後半では、応答性の中でも養育者が使う対乳児発話や育児語彙の有効性についてお話頂きました。対乳児発話とは、子どもに話しかける際に声の強さ、長さ、高さ、言葉のリズムなどが大人同士で話す時と比べ特徴的な話し方になることであるとお教え頂きました。対乳児発話や育児語彙の使用は適切な発達段階で使われる事が重要であり、適切な段階を超えて使用すると、幼児の言葉の発達を遅らせる原因になると知りました。

以上、今回「言葉の発達の土台」について小椋たみ子先生によりご講義いただいた内容になります。言葉の発達にはすでに人間が生まれながらに持っている枠組みがあり、そのうえに養育者による言葉かけを行うことでより言葉の発達が促される。その際発達段階に合わせた言葉がけを意識する必要があることがわかりました。

(文責:関西学院大学大学院文学研究科博士課程前期課程 巖 香蓮)